NHK総合のプロフェッショナル・仕事の流儀で4月17日に放送された、「イヌは人生のパートナー・盲導犬訓練士・多和田悟」が再放送されていました。
盲導犬訓練士の多和田さんは、あの「盲導犬クイール」をはじめ、多くの盲導犬を育成してきた方です。その多和田さんがプロフェッショナルとは何かを語るのですが、番組内で盲導犬育成の様子、若い訓練士育成の様子、ユーザーと盲導犬の歩行訓練などを垣間見ることができました。
ほめることは、育てること
それまで、厳しい訓練で盲導犬を育成したきた多和田さんが、盲導犬ユーザーに「あなたのイヌは使えない」と言われてしまいます。厳しく訓練された犬たちが、ユーザーの言うことを聞かないというのを知り、最初はユーザーが悪いと思っていたそうです。ところが、何件もそういうクレームがあり、多和田さんはご自身の訓練方法に自信をなくしていきます。
転機は、イギリスの盲導犬とユーザーを見たこと。
ユーザーと楽しそうに仕事をしている盲導犬を見て、盲導犬は単なる歩行ガイドではなく、人生のパートナーである、と認識を改めたそうです。
それからイギリスに何度も渡航し、ほめて育てる盲導犬訓練に変わっていったそうです。
盲導犬にとって仕事は楽しいゲームなのです。
人間語ではなく、イヌ語で話す
若い訓練士たちが犬にハーネスを持ってこさせるのに苦労している中、遊びつつ次第に持ってくるものを変えながら、最終的にハーネスを喜んで持ってこさせています。犬を自在に操っているように見えるので、「イヌ語を話す」を言われるようです。
多和田さんは、犬の雰囲気、表情、動作などからイヌの気持ちを読み取り、訓練していきます。できることから少しずつトレーニングし、段階を踏んでシェイピングします。
ほめるには、タイミングがある
私が服従訓練を始めた当初、先生によく言われたのが、ほめるタイミングが遅い!ということ。イヌはヒトのコトバをヒトのようには理解していませんから、タイミングが肝心です。ほめることで、その動作が正しいということをイヌに伝えるわけです。ですので、ほめるにしろ、叱るにしろ、タイミングが悪いと、イヌにとっては何のことを言われているのか伝わりにくくなります。
「ほめて育てる」は、「叱らない」ことではありません
脳科学者の茂木健一郎さんのコメントを紹介しておきます。
成功体験を経て、初めて学習は完結する。それは脳科学的にみて事実である。今回お話を伺った盲導犬訓練士の多和田悟さんが言われていたように、盲導犬の訓練の過程で「No」は最後に「Yes」と言うための1つの段階として使うというのは、脳の強化学習のメカニズムから言うと納得のいくことだ。
最後に褒められてドーパミンが出て、それで強化学習が完結する。このメカニズムというのは、それこそラットあたりから人間まで基本は変わらない。犬もそこは全く同じだなと思った。
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