1997年8月15日。
「今日はベルちゃんの誕生日だったな。」
独り言を言いながら、私は誰もいない家のドアを開けました。
4カ月前まで一緒に暮らしていたベル。食いしん坊で、おっとりやのお姉さん犬のサリーはいつも食べ物を奪われてたっけ
今日で1歳になるはずのベル、お母さんになったと噂に聞いたサリー・・・
恐ろしい病気にかかり入院中の父。
犬達の掘り返した花壇に、雑草が生い茂って、両親の家は、人の住んでいる家とも思えませんでした。
突然、電話が鳴り響きました。
「アイメイト協会です。29日から歩行指導に入ろうと思うのですがいかがでしょうか?」
アイメイト!あぁついに、待っていたパートナーに会える!
2週間語。私は東京のアイメイト協会にいました。
「あなたのアイメイトの名前はノエルです。呼んでください。」
「ノエル、カム(おいで)」
少し(ずいぶん?)小柄なクリーム色のラブが・・・静かに・・・私の前に来ました。
「ノエルちゃん・・・」
そう言っただけで、涙がこみ上げて来ました。
寂しくつらかった4カ月、病気に苦しんだ父の姿、車にのせられて行ってしまったサリーとベルのこと。心に閉じこめていた記憶がいっぺんに吹き出したのです。
「???」
優しく背中を撫でながらいきなり泣きだした目の前のおねぇさんを、ノエルは不思議そうに見上げます。
「ノエルはベルちゃんやサリーちゃんに負けないかわいい子になりますよ。がんばりましょうね」
指導員の方も言ってくださいました。
ぱたぱたぱた。ノエルが優しくしっぽを振りました。
ノエルの足跡1 出会い
1998.03.10
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